『ふたたび若き日の作品展』            ギャラリー扶蓉50周年特別企画

絵画

森田義男個展(5/22~27)

会場:ギャラリー芙蓉―――八王子市横山町18-19 http://gallery-fuyou.com                                                                                電話:042-623-9013

「森田義男 画業七十年記念画集」販売中  ¥1000円 画廊にお問い合わせ下さい。

期間:2025年5月2日~5月27日

Ⅲ期 森田義男個展 (ギャラリー芙蓉50周年特別企画 案内状)

 ギャラリー芙蓉の店主   岩間 幸雄さん の挨拶文 

ギャラリー芙蓉は、前画廊主である 橋本たき江さん が「美術家の人たちが気楽にやってきて、美術談議に花を咲かせるサロン」のような画廊を目指して、地元の画家・森田義男さんから画廊経営の指導を受けて開店にこぎつけたのは、昭和50年(1975年)6月の事でした。それから半世紀ここまで来られたのは地元八王子を始めて、この地域の画家たちや皆様方の温かいご支援とご協力によるものと感謝申し上げます。

 その記念としてギャラリー芙蓉50周年特別企画「ふたたび若き日の作品展」を第Ⅰ期~第Ⅲ期まで開催いたします。

 この作品展は、昭和50年6月の開廊記念として出品した21名の画家たちの中から、今回15名の画家の作品を所有者及びご遺族、ご友人のご厚意、ご協力を得て展示させて頂きます。  是非ご高覧下さい。

路地 フランス
リヨン駅前バー
サンラザール駅前
昭和21年 大食堂
昭和23年
       若き日の自画像

 ‟森田義男先生から教わったこと”   

                喜田祐三:元蒼林展メンバー 2016年5月 

    

 私の長女が幼い頃、先生の奥様にピアノを習っていました。私は毎週、娘を先生のお宅に送り迎えして、ピアノのレッスンの時間中、何もすることなくて、退屈していました。そんなある日、先生が「喜田さんよ、アトリエに来てみたらいいよ」と言ってくれました。

製作中の先生の姿を見ながら「かっこいいなあ」と思ったり、「よく長時間、座りっぱなしでいられるなあ」と感心したり「画家は腰を患うなあ」と思っていました。

「喜田さんよ、一枚、描いてみないか」と言って、六号のキャンバスと道具を使わせてくれたのは、それから一か月程たった時でした。

 私は、故郷のお寺の風景を思い出しながら一枚描いてみました。赤面するような下手な絵です。その絵を先生はじーっと観てから、「なかなか、いいじゃないか」と言って、ゴールドの細い額に入れてくれました。きっと心優しい先生は「喜田さんは下手糞だね」と言う代わりに、つい心にもない「褒め言葉」になったのでしょう。

それが私と先生との出会い、そして油絵との出会いでした。

 

 先生のアトリエの何とも言えない油のいい匂い、カルメンの赤いバラのように、筆を口に横向きにくわえて、チューブから絵の具をパレットに絞り出すときの姿、絵の具をキャンバスに塗りこむ時のシューッ・シューッという筆の音、その筆の動き、どれもが私にとって憧れになって来ました。

 先生が主宰する「蒼林会」という絵の会に入会させていただき、私の絵画人生がスタートしました。教室で、スケッチ旅行で、飲み会で、私はいつも先生の個性に触れてきました。大げさに言えば、絵だけでなく、人間としての生き方まで教わった気がします。あれから四十年、私は人に向かって「趣味は絵を描く事です」と言える様になりました。

 四十年も描き続けていると、私のような馬鹿な人間でも、人まねでなく、苦しい経験から割り出して会得したものがます。それが個性というものでしょうか!技術的にはいろいろと面倒な事も有るのですが、本当は技術以外に大切な事があると思います。私が先生から教えて頂いたそのようなことは、要約すると以下の三点です。

  • 人に褒められようと思って絵を描くな、きれいな絵を描くな、個性的な絵が良い絵と心得よ。
  • 対象物の本質を見よ。表面(形・色)を描くのではなく、内面を描くように努力せよ。
  • 技術で描いた絵はつまらない、すぐ飽きる、上手な絵より個性豊かな良い(面白い)絵を描け。

 この画集は先生の膨大な作品群から、ごく一部を選んで収録しました。

 倉庫やアトリエの天井裏から掲載すべき作品を選んでいますと、先生の作品の変遷がよくわかります。

森田先生の絵は初期の具象から年次と共に変遷を遂げ、一時、抽象になり、その後、具象に戻り、先生独自の簡素化された世界を創造しています。特に七十五歳を過ぎた頃からの作品はさらに簡素化され、不要なものを一つひとつ削除して、最終的にキャンバス上に先生の精神性のみを残すまでになりました。

 私は自信を持って「森田義男先生は現存する日本の油彩画家の真の第一人者だ」と思っています。

―――実に見応えの豊かな個展でした。お若い頃、「里見勝蔵」「荻須高徳」等の親交がありました。おひとりでも多くの皆さんに、かくも素晴らしい‟画家さん”が八王子の地におられた事をお使いしたく存じます。

私は「森田義男画集」の中に収められている、晩年(2016年)の墨絵作品に、凄味を感じました。その頃、先生は目の病に苦しみ、ほとんど目の見えない状態だったそうです。其れでも「描きたい」と言う執念、同じ道を歩まんとする人種として見習いたいものです。 

  「風神雷神」 8号(2016年)                      「世の中真っ暗でござんす」 8号(2016)
   「五重苦の記述1」 8号(2016年)                  「五重苦の記述2」 8号(2016年)
    「五重苦の自画像」 8号(2016年)                   「無一物」 8号(2016年)

「森田義男画集」まだ残っておいます。是非お問い合わせ下さい。      

      

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