『さとりをひらいた犬』刀根 健 著 を読んで

またまた、素晴らしい著書に出会うことが出来ました。刀根健さん著『さとりをひらいた犬』です。 先ずは、刀根さんの経歴を記しておきます。 1966年千葉県出身。産業カウンセラー、TAマスターコンサルタント、企業・病院・官公庁でコミュニケーションやリーダーシップ開発の研修講師として活躍。しかし、2016年9月1日に肺がんステージ4と診断。2017年6月13日に脳転移治療のため1ヶ月入院。精密検査で脳のほか両目(眼内腫瘍)、左右の肺、肺から首のリンパ、肝臓、左右の腎臓、全身の骨転移。医者に「いつ呼吸が止まってもおかしくない」と告げられた。その絶望的状況で不思議な神秘体験をする。その神秘体験後、奇跡的に回復。2017年7月末で癌はほとんど消失。現在はその体験を通しての「気ずき」をもとに講演、セミナー、執筆などで活躍中。
機会がありましたら、刀根さんのセミナー参加してみたいです。刀根さんの体験、癌からの再生、また臨死体験是非とも、お聞きしたいものです。
この著書のあらすじを少し紹介したいと思います。 ジョンという名の猟犬です。ご主人様(人間)に飼われています。7匹の猟犬と共に日々、何不住なく暮らす事ができます。しかも、ご主人様はジョンの事を一番に可愛がってくれました。なんせ足が速く、賢く、勇敢でした。其の7匹の猟犬のリーダーでもありました。ある晴れた朝、何時ものようにご主人様は狩りに出掛ける様子です。ジョンも張り切り、狩の準備は万端です。 しばらく歩く事、大きな森に差し掛かりました、獲物を発見したようです、ご主人様はおもむろにライフル銃を構え、標的に標準を合わせます。青く澄み渡る空に「ヅドーン」ライフルの発砲音が響き渡ります。「それきた」ジョンは鉄砲玉の如くに獣目掛けて、誰よりも速く走ります。撃たれたであろう所から大分森の奥に逃げたようです、だが獣は傷付き血の跡を残して逃走です。傷は大分深そうです。 その後を追え続け、窪地横たわる大きな獲物を見つけました。ジョンの3倍はありそうです。まだ息が有ります。そして、話しかけてきます。 私は狼、名をダルシャ。「俺の命はもうすぐ終わる、最後にお前さんに会えたのも、何かの縁だ、いいことを教えてやろう。でも、これを決めるのは、ジョンお前自身だ!」 彼は矢継ぎ早にジョンに問え駆けてきます。 「お前は、人間に飼われ、獣を探し出して、それを咥え人間に渡すために生きているのか?」 「俺たちは誰かに『飼われる』ために生きているのか!」 「思い出すんだ、ジョンほんとうの自由を!」 「今の君は生存しているだけ。生きてはいない。それに気づくんだ!」 「・・・・・・・」 「実は私は北の大地から来た。道案内・・・・」 「最後の・・・・招待状・・・・」 「ジョン『魂の声』を聴いてみるんだ・・・・」 「もし、”ほんとうの自分”を探す決心がついたなら、北へ進め、ベレン山がある。そこへ行け。行けば分かる。」そこまで言うと、ダルシャはゴホッと咳をして大きな血の塊を吐き出した。

それからしばらくして、ジョンは平安な猟犬生活を捨て、ダルシャの声に従って冒険の旅に出るのです。本当の自分探しの旅、『魂の声』を聞くための試練の旅の始まりです。 この著書(物語)を読み終わった直後。一番に感じられた事は、ひょっとしたら犬や猫、小鳥や魚たちの間でも、こんな会話(ジョン達のように)がなされているのでは、と思われましした。 ひょっとしたら、生きとし生けるもの、全てのものがその「さとり」を目指して生きているのではないでしょうか❕ 仏教では輪廻転生が言われます。生まれ変わり、死に変り、今、たまたま我々は人間として生きてますが、これから先、如何なる運命が待ち受けていましょうか!
最近、私の生活の変化をお伝えします。実はだいぶすごい酒飲みでした。一年360日はお酒を欠かせない日々でした。何とかしたいと思って決意しても、お酒抜きが1日か2日、後は元の木阿弥です。瞑想を始めて2ヶ月頃でしょうか、自然にお酒の方から離れ去ってくれました。今は全く口にしていません。酒の無い生活のなんと素晴らしい事でしょすか、体調も不良です。時間の無駄が無くなりました。これまで、どれ程の時間を無駄に捨てて来た事か!朝の目覚めがなんと快適な事でありましょうか。瞑想よ万歳、お酒バイバイ。
さて、著書に戻りましょう。旅に出たジョンは、ダルシャに言われたように、北へ北へと進路を取れます。いろんな出会いに遭遇します。先ずは自分で自分の食料を確保しなければなりません。一匹のウサギを見つけました。草場に身を潜め、仕留めます。自分で狩りをして、獲得した初めての食料です。 これはジョンとウサギの会話です。 ジョン「すまない。でも、君を食べないと、僕が死んじゃうんだ」 瀕死のウサギが苦しそうに話します。「はぁ、こっつは変わった奴だ。どの道おいらを食べるんだろ!ま、いいや。気にするな!おいらはここで死ぬ。そして君に食べられる。おいらの命と君の命が一緒になるんだ。君もその内死ぬだろう、そして誰かに食べられる。この世界はそうやって繋がっているのさ。繋がっていないのは人間の奴らだけさ。君が人間の手先じゃなかったのが、唯一の救いさ。さあ、ひと思いににやってくれ」そう言って、目をつむった。 ジョン「ありがとう・・・ありがとう・・・」ぼたぼたと涙が流れ落ちた。 僕の一部になったウサギの為にも、僕はしっかりと生きて行かなければ!それがウサギの命に対する責任だ。生きることは命に対する責任を果たすことなのかも知れない。
この先にあるのがベレン山、それを超えて行くと、アマナ平原がある。そのまた先に「ハイランド」。 ジョンはハイランドを目指して北に進路を取りました。
これから先、いろんなドラマチックな出会いがジョンを待ち構えていました。 「赤い魔獣」大熊のゾバック。ネズミの預言者「クーヨ・アレキサンダー・エスコバル・ド・フェンテス」からのお教え。白馬の女神「シャーレーン」の慈愛 等、どうか本書を手に取ってそれぞれのドラマをお楽しみください。
そして、「ハイランド」を求めた旅の最後に年老いた狼「レドルク」との出会いが待っていました。 ジョンはレドルクに「ハイランド」への道を尋ねます。 レドルクは静かにゆっくりと答えます。「ハイランドという、場所など、どこにもないよ!」 これまで、冒険を重ねて探し求めてきた「ハイランド」が無い。 しかし、ここからレグトルとのゆっくりした長い対話が流れていきます。
このドラマは刀根さんの体験談を基にしているとお聞きしております。刀根さんの辿り着いたのは、このレグトルとの長い静かな対話の中に語られていると思います。 お師匠さんレドルク先生は静かに諭します。「抵抗せず、判断せず、執着せず、ただひたすら、ありのまま、自らの心を観照し続けなさい」 「”さとり”とは身体、心、魂の三つのレベルで、”私はいないと知る”事じゃ」 「”私”は分裂した個ではなく、宇宙、全体、大いなる存在、そう”それ”そのものだということが、みっつの存在を通して、腹の底から分かる。それが”さとり”じゃ」 そして、ジョンは「本当の自由とは、外側の何かから自由になることではありませんでした。身体やエゴの声といった“自分”からの自由・・・これが本当の自由です。」と悟りを開き、伝道者になる事を誓い南への旅へと赴きます。 そんなジョンをお師匠さんはこんな言葉を持って送り出ます。 「行っておいで、ジョン。『魂』の赴くままに・・・。”自分”を超え”自己”という存在を生き切ってごらん。魂を遊ばせてあげることじゃ。この世界は魂の遊び場じゃ。」
一回、読んだきりで、作家の言わんとすること理解出来るもではないと、思います。何回も読み直す必要のある著作です。私も何回か読み直すつもりです。刀根さんありがとうございました。機会がありましたら、是非ともお会い頂けたら幸いです。著書にお会いできました事を感謝感謝です。
日々の瞑想を深めて参りましょう。
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